第30話 青年団との協働の後味

ナイトウォークが終わって4週間ほど経った頃。

珠洲市青年団協議会のT会長から連絡がありました。

こんど、県内他地域の青年団関係者とオンラインで交流したい。

ついては、中立の立場で進行役をしてもらいたい。

そのような依頼でした。


地域づくりファシリテーションを志す研究会にはありがたい依頼。

僕自身が適任かどうかはともかく、お引き受けすることになりました。


団員の減少や、それによって増える行事開催の負担(労力)の増加。

このような問題意識を掲げて白山市の白峰青年団の有志と画面越しの交流。


11月20日、合計4時間に及ぶ交流会の日が来ました。

僕は前半2時間部分の進行を担当するのでした。


協議会が「進行要領」と題した全体の台本を用意してくれていました。

時間割がかなりはっきり設定されています。

このあたりのきちんとした準備はさすが。


ただ、僕が進行する部分の台本は議論のテーマのみであとは空欄。

つまり、事前に流れを決められない部分ということです。

さて、どうやって進行すればよいか?


しかも、よく見ると「総まとめ」の時間帯の欄にこんな記載あり。

「ファシリの腕の見せどころ。」

ひえ~、そんな期待されても困ります~!


後半2時間は、オブザーバー参加の人たちも交えて完全に自由な意見交換。

僕もひとりの参加者として気軽に聞いたり発言すればよいとのこと。


僕は自分への不安を抱えながら本番を迎えました。

結果として、参加したみなさんから色々な思いやアイデアが出ました。

とても有意義な会になったように感じています。

僕の進行がうまくできたのかどうかはわかりませんが…。


ファシリテーターとして僕が事前の打ち合わせ段階から意識したことがありました。

「そもそも論に一旦戻ってみる機会にしてはどうか」ということです。


青年団活動を通じて何が(誰が)どうなることを目指すのか?

今の団員は青年団活動を通じてどのような「よいこと」を経験したのか?


そういった目的志向かつ前向きな議論をするのもよいのでは、ということでした。

青年団組織には綱領や規約があります。

これらの基本原則を大切にしつつ、身近に感じられるメリットは何か?

両方を共有したいところです。


というのも、青年団への加入は義務ではありません。

であれば、住民が青年団に加わるにはメリットやきっかけが必要です。

連帯感は確実にメリットになるでしょう。

先述のとおり、「事業運営の経験」もよいメリットです。


「後輩に、『青年団では失敗してもいいから全力でやってみろ』と言っています。」

こう発言する参加者もいました。

なるほど。


青年団活動に参加して感じたこと、学んだこと。

そのような個人的で具体的なエピソードがたくさん語られる場。

そこにはポジティブな空気が流れ、楽しい時間となるはず。

そのような場なら、自然と仲間が増えていくのではないか?

これが僕の仮説です。


もちろん解決すべき課題はあるでしょう。

当事者だからそれが議題となって出てきます。

真剣に考えている証拠で、そのことに僕は敬意を覚えます。


ただ、苦しそうな場に人は集まりにくい。

以前、他の地域でフィールドワークをしていたときに地元の人から聞きました。

楽しそうに振る舞うリーダーのポジティブなオーラに人は付いてくるのだそうです。


そして僕が大事だと思うのが「後味」。

今回、交流会そのものがよい後味で終わりました。

さらに、 時間を空けずにT会長からお礼のメールが届きました。

そこに添えられていた言葉も心に沁みるもので、僕にさらに心地よい後味が残りました。

この後味が、次にコラボする場合の最初の一歩を出しやすくしてくれます。


自分は人に対して、このようなよい後味を残せているかなぁ?

気づきと反省と新たな意欲が湧きました。

T会長ほかみなさま本当にありがとうございました。  

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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