第21話 枠組みを示す その3

枠組みを示すことをファシリテーションの視点で考えてきました。

少しだけ補足したいと思います。


これまで述べてきたのは、主にコーチングの視点からの話でした。

つまり、枠組みがあることによる促し。

主体となる人たちがそれぞれ考え、自分の言葉で整理し発信する。

その設えの支援です。


そのようなファシリテーション。

実は意外に周りに溢れているのかもしれません。

意識しているかいないかに拘わらず。

僕自身も、思えば無意識的に枠組みを示すコーチングをしてきたようです。

また、同じように、他の人からコーチングを受けてきたことでしょう。

共通するのは、これらが、どちらかというと個人レベルだということです。


でも、枠組みを示すことは、個人レベルを超えた規模でも起こります。

組織とか、社会全体とか。


前に例示した研究の整理の話。

これは、もっと大きな規模でのファシリテーションでもあるのかもしれません。

限られた資源(この場合は予算(カネ))をどう分配するか?

それを決める手順や方法を見える化し、不公平を小さくする。

そう促すのが「枠組み」ではないでしょうか。


前々回のHさんの例も個人レベルを超えています。

それは、地域づくりのビジョンを標語にする話でした。

一見すると予算のことは出てきません。


でも、その裏に重要なことがあります。

地域の未来のために特に重要な施策は何か?

その優先度を決めるのがここでの議論の本質。

標語というのは成果物であり、そこに魂を入れるのが優先すべき施策群です。

なので、有限の資源の分配のしかたの議論でもあるのです。


Hさんに「降ってきた」枠組み。

それを使って参加者が議論を収斂する。

これはまさに資源配分の可視化と、不公平感の低減。

少なくともこうした議論に対して意識を向けている市民たち。

これらの人たちにとって、「知らぬ間に決まっていた」という事態を防ぐ。

そんな効果もありそうです。


個人と組織。

「組織」のところは「地域」や広く「社会」に変わるかもしれません。

両方に生きるファシリテーションとしての枠組み。

僕もミクロとマクロの両方の視点で考えてみたいと思います。


この文章を書きながら、僕の考えも段階的に整理できました。

考えてみれば、このブログという発信のしかたもひとつの枠組みです。

この枠組みのおかげで、期せずして自分の整理と発信を設えてもらいました。

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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