第24話 ワークショップって何だろう? その1

ワークショップとはいったい何でしょう?

色々な意味で用いられる用語です。

2、30年前とちがって今では耳にすることも多くなりました。


僕自身は、研修でのグループ作業という形で「ワークショップ」と出会いました。

いつが初めての出会いだったか思い出せませんが、恐らく1990年代後半かな?


その後、たくさんの「ワークショップ」を経験し、自分のなかでイメージができていきました。

定義を明確に考えていたわけではないので、漠然としたイメージですが。


一方、いまからちょうど20年前の2001年秋にカナダで驚いたことをはっきり覚えています。

「ここが僕のワークショップだよ。」

知人の家のなかの小部屋を見せてもらったときのことでした。

その小部屋には、DIYのための道具や作業台など彼(カナダ人)の作業の場がありました。


そうか、ワークショップとは作業場とか工房の意味もあるのか!

というか、むしろそちらが元々の意味なのでした。

僕のなかでこの本末転倒があったことにそのとき気付いたのです。


元の意味を知ってから、僕にとってのワークショップのイメージが少し具体化しました。

ハンズオン(hands on)という表現を耳にすることもありました。

これは読んで字のごとく、ですね。

目や頭だけでなく、手を使って作業する。

「机上の空論」とか「議論が空中戦」などと対極にある、「実践」の概念です。


21世紀に入ってからでしょうか、日本でも参加型の議論が増えてきました。

小グループに分かれて、模造紙や付箋紙を使って作業するワークショップ。

海外から入ってきた概念や手法と、KJ法のような日本発祥の概念や手法。

うまく組み合わされば、魅力的な場が生まれます。


そんな時代の流れのなかにあった2011年。

知人の研究者が、ある問いを発しました。


「ワークショップって、一体何のためにやるんですかね?

親睦が目的なら、懇親会をやればいいだけです。」


発言の主は、自然科学の分野の人です。

でも、白衣を着て実験室にこもるという研究スタイルではありません。

他の分野の研究者(文系も含め)と大きなチームで研究をする人でした。

さらに、フィールド研究の対象となる地域の住民とも関わりが増えていきました。

研究で得た科学的知見を一般向けに伝える活動にも従事します。


そうした一連の研究活動のなかでワークショップに触れる機会も増えたのでしょう。

彼が経験したワークショップがどのようなものか僕は知りません。

なので、ここからは想像になります。


どうやら、彼の居心地が悪かった原因の一つは、ワークショップの「結果」の扱いにあるようでした。

ワークショップで議論されたことを、誰が、いつ、どこで、何のために、どのように実行するのか?

こうした5W1Hの行動計画につながらず、その場限りの演習をするだけでは時間の無駄ではないか、ということかもしれません。


いずれにしても、彼の本質的な問いは僕に深い印象を刻み込みました。

はっきりと答える自信はまだありません。

これからもずっと自分に問い続けていくことになるのでしょう。


地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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