第26話 ワークショップって何だろう? その3

ワークショップは何のため?


この問いへの答えになるかどうか分かりませんが、僕が確信をもって言えることがあります。

ワークショップだからこそ得られる成果は確実にある、ということです。

それは、一人の思考の枠を超えた広がりです。


一人が一つの楽器を演奏するのと、複数名が複数の楽器で演奏するのとで違うのと同じです。

どちらが優れているか、ということではありません。

生み出される音の広がりや深みが違うということです。

そして、その広がりや深みとは、相互作用の産物といえそうです。


ジャズを思い浮かべるとイメージしやすいかもしれません。

楽曲の基本的な造りは楽譜で示されています。

でも、演奏しながら共に音を作り上げていくようです。

各楽器のソロ部分では、ある程度自由に即興演奏できます。

いわゆるアドリブというやつですね。

しかし、それは単独演奏とは違います。

楽器や演奏者の間の相互作用から、その一度かぎりのアドリブが生まれます。


ワークショップもジャズ演奏と似ています。

相互作用によって自分のそのときその場での思考が刺激される。

そして、ひとりだけでは得られない気付きや学びを得ることができます。

その過程を共に体験した人たちの間の一体感も生まれます。

懇親会で育む親睦も大切ですが、ワークショップは少し違った連帯を促します。

それぞれに効用があるのです。


このジャズによる例えかたも、僕はある対話の場面で知ったのです。

「これまでの2時間、ずっとジャズが流れていましたね。」

他の参加者が述べた感想の言葉。

なるほど、このような相互作用。

ある程度の基本的な想定。そして促し合うアドリブ。

とても実感できる例えでした。


ということで、ワークショップには意義があるという僕の考えは揺らいでいません。

目的を設定して、それを達成できるように設計・運営するのは難しいです。

相互作用の行方を事前に予想しきれるものではないので。

だからこそ、ワークショップには醍醐味があります。  

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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