第34話 「ミステリー」という名の探究 その1

ミステリー。

小説や映画でよく使われる言葉ですね。

しかし、ここでは、ある学びの手法の名前です。

このミステリーという手法を体験する機会を得ました。


講師は高橋敬子さん。

以前、西池袋の地域づくり事例をご紹介くださった人です(第7-9話参照)。


ミステリーは元々、英国で地理学の学習手法として開発されました。

近年では気候変動の学習にも用いられているそうです。

海外の気候変動学習の動向を調査した高橋さん。

その一環で、ドイツにおいてミステリーの実践を知りました。

そして、その後、日本への導入を図ってきました。

研究機関と協働したり、地方での実践を重ねたりしています。


さて、ミステリーとは何か?

手法の要点は以下のとおりです。


20-30枚のカードが用意されます。

それぞれのカードには情報が文章の形で書かれています。

図や写真が添えられているカードも多くあります。

内容は、例えば平均気温の変化や平均水温の変化など気候に関すること。


身近なエピソードのカードもあります。

農家の人が、コメや野菜・果実の生産で最近困っていることなど。


こうしたバラバラの情報を、カードを並べかえながら整理します。

そしてカードたちを線でつないで関係性を示します。

整理して図を作るわけです。

そのしかたは自由です。


まず個人でこの図を作る作業をします。

次に4人くらいのグループ内で共有し、議論します。

最終的にグループで1つの図を作ります。

そして、グループごとに発表し合って共有します。


以上が大まかな流れです。


僕を含む4名の有志が今回、体験する機会を設けました。

高橋さんに指導を依頼し、オンラインで計5名が集まりました。

2022年1月某日の夜のことです。


元々は対面用に設計されたものです。

しかし、コロナ禍ということもあり対面の実施がなかなか難しい。

そこで、オンラインでもできるように高橋さんたちは工夫中。

今回もやりかたを工夫してくれました。


カードの内容は事前にPDFで受け取り、参加者は目を通しておくことにしました。

当日は各自がパソコン上でパワーポイントを操作します。

カード(の見出し)が揃ったスライドも事前に受け取ってあります。

各自の画面上でカード(テキストボックス)を動かします。

並べ替え、分類、順序付け、結び付けなど自在におこないます。


各自の作業は10分間と短時間ということもあり完成度が高いわけではありません。

僕も、線で結び付ける作業など途中のまま時間切れとなりました。

でも、仕上げることより、まずは情報を咀嚼できたことに意味があります。

自分なりの大まかな整理の方針のようなものも一応できました。


10分経過したときに高橋さんから声がかかります。

こんどはグループで作業する時間です。

今回は我々4名の1グループですが、通常はいくつもグループができます。

なので、ファシリテーターは1か所に張り付きません。

会場を歩き回って見守る感じです。

今回は、高橋さんはオンラインで我々を見守ってくださいました。


グループ内の進行など役割分担はすべてグループに任されます。

その場の成り行きで今回は僕が進行役を務めることになりました。


メンバーそれぞれの作業結果としての図。

それを順番に画面共有してもらいました。

簡単に意図なども説明してもらいます。

人によって整理のしかたが様々であることがよく分かりました。


続きは次号にて。 

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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