第36話 研究を通じたファシリテーション その1
新たな仕事に就くため、2022年3月に僕は能登を離れました。
能登で過ごした約5年間は、悩みながら学ぶ貴重な日々でした。
多くの人にお世話になりました。
この場を借りてお礼申し上げます。
悩みながら学ぶ。
私にとって能登での挑戦。
一言で表すなら次のようになります。
「研究者として、どのように地域づくりに貢献できるか?」
5年かかっても、はっきりとした答えは出ませんでした。
でも、もがきながら色々取り組むなかで、糸口は見えた気がします。
その一つを共有したいと思います。
能登に移る前の2015年から僕が新たに関心を持ったこと。
それが、「ゲームを通じた学び」でした。
前職だった京都の研究所では、同僚たちと集まってプレイしたり。
研究所の一般公開イベントの出し物として独自のゲームを作ったり。
そんな活動を始めたのでした。
傍から見れば遊んでいるようにしか見えなかったことでしょう。
でも、これも立派な研究!
そして、それこそがまさに大切なことです。
そう、「遊びながら(いつの間にか)学んでいる」ということ。
その研究所では、他にもゲーム研究が盛んになっていました。
2018年3月に開催された研究会では、ゲームでSDGsを学ぶ体験をできました。
既に能登に移っていた僕ですが、興味深々で駆け付けました。
このとき出会ったのが「2030 SDGs」というゲームです。
一般社団法人イマココラボが開発したカードゲーム。
ちょうどその頃から能登にSDGsがやってきます。
(SDGs=持続可能な開発目標)
能登半島最先端に位置する珠洲市が「SDGs未来都市」に申請。
内閣府から初代の未来都市の一つに選定されました。
このことは、僕の仕事に直接の影響を与えました。
SDGs未来都市の申請・選定は自治体主導でした。
研究機関から知恵も受けましたが、住民からのボトムアップではありません。
実際、2018年当時、珠洲市内でSDGsの認知度はかなり低かった印象です。
日本全体でもまだ広く知られているわけではありませでした。
そのようななかで、まずは地域住民がSDGsを理解するための方策。
それを考えるのが自分にとっての新たな課題となりました。
研究者として地域で何をできるのか?
こうして、僕の一つの挑戦が始まったのです。
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