第38話 研究を通じたファシリテーション その3

SDGsを学ぶプログラム。

それを設計する際に強く意識したことがあります。

参加者がSDGsを「自分ごと」として考えるようになること。

そのきっかけとなるような学びにすることです。


この学習プログラムは、基本的に依頼を受けて実施するものでした。

主催側の学校や団体の担当者と相談を重ねてから本番を迎えます。


このような授業や研修のほとんどは、単発の開催です。

時間もそれほど長く確保できないことが多いです。

しかし、60分とかでは簡単に説明するのがせいぜいです。

そこで、最低90分所要の設計としました。


冒頭でアイスブレイキングや概要説明をします。

続いて、カードゲーム「2030 SDGs」を参加者がプレイします。

現在から2030年までの世界の変化をゲームで模擬体験します。

それを通じて、世界と自分の行動の関係性を考えるきっかけが生まれます。


ゲーム体験直後に、各自が得た気づきを振り返ります。

まずは全員で感想を言い合ったりします。

続いて、SDGsと自分の関連について考え、ワークシートに記入します。

そのなかで、この学習プログラム参加の前と後の変化も自己評価します。

SDGsと自分の関わりの度合いがどう変化したかを振り返るのです。


2019年2月から2021年1月にかけてプログラムを実践しました。

石川県内(珠洲市および金沢市)で計14の開催し、延べ289名が参加しました。

下は中学1年から上は公民館長世代まで、年代も所属も多様です。


プログラムの実践から何が分かったのでしょうか?

参加者の了解を得たうえでワークシートの回答を集めました。

そして、個人が特定されない形で集計・分析をおこないました。


その結果、この学習プログラムの前と後で明らかな変化がありました。

SDGsと自分の関わりの度合いが高まる傾向がはっきり示されたのです。


特に、「聞いたことがある」(漠然とした知識)から 

「積極的に情報を集めたい」(主体的な関心)に変化した人たち。

この変化が最大の層(全参加者の実に45%)で起こりました。


SDGsを「自分ごと」として解釈するための一助。

このプログラムがそうなっていることが示され正直、設計者として安心しました。

しかし、分かったことはそれだけではありません。

次号で締めくくりたいと思います。 


地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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