第41話 研究と地域をつなぐ その2

奥能登に関する研究成果を一元化し、活用しやすくするための仕組み。

それを検討する研究会の活動から何が見えてきたのでしょうか?


なんといっても、仕組みの核となるのはデータベース。

どのような研究成果があるかを一元化するための重要な道具です。


ただ、データベースというものは、闇雲に作っても活用されません。

目的を定め、その目的に合うような仕様を設計。

そして実際に構築。さらに運用していくまでには時間がかかります。

研究会では、目的、利用者層、基本的な設計方針をまず検討しました。


目的と利用者は一体です。

主たる利用者層は誰か?


この最初の論点で、すでに多様な意見が出ました。

大学などに所属する外部の研究者が主たる利用者か?

あるいは、地域内の子どもが主たる利用者か?


例えばこれら2つのどちらを想定するかで、データベースの使用は大きく変わります。

結論として、利用者は上記2つの例も含む広い設定とすることにしました。

どっちつかずの仕様になるリスクはありますが、

地域の内と外と、両方の利用者が使いやすいものを目指すべき。

そういう僕の考えを最終的に研究会として了解してくれました。


また、研究会にはデータベースの専門家にも加わってもらいました。

そのおかげで、論文など最終的に完成された成果だけでなく、

一次情報(調査データ)などもすぐ公開することで活用されやすいことを学びました。


その意味で、データベースの利用者層は検索するエンドユーザーだけでなく、

データを登録する研究者も含まれるのだという議論になりました。

みんなで作り、みんなで使いながら育てていくデータベース。

そのような概念がふさわしいのでしょう。


先進的な他地域として、長崎県対馬市の取り組みを学ぶ機会も設けました。

地域内外のすべての研究成果を、対馬学フォーラムいう毎年の催事で結集。

ポスター発表などの方法に不慣れな人には主催者側が支援。

対馬ではデータベースも構築し、運用も続けています。

ただし、対面での一元化(成果報告の集会)を最重要視しています。


別のデータベースの事例を学ぶ機会もありました。

総合地球環境学研究所の「地球環境学ビジュアルキーワードマップ」。

エンドユーザーが楽しく操作できる工夫が満載。

その仕掛けの妙を見ました。

ただし、ここでも鍵は、データベース「だけ」でないこと。

どう活用するのか、具体的な場面を予め想定するのが大切とのことでした。


結論として、データベースと活用場面は両輪のようです。

データベースだけ作っても、活用されなければ「仏作って魂入れず」なのでしょう。

僕自身にとっても多くの学びのある研究会活動となりました。

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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