第46話 佐渡での学び その4
佐渡での学びシリーズ。
今回は、雨宮隆三(あめみや りゅうぞう)さんのお話です。
各方面でご活躍のため、役職が多い雨宮さん。
今回の話題に関連する主だったものだけでも以下があります。
株式会社雨宮事務所 代表取締役
Lane株式会社代表取締役
株式会社相川車座 取締役
一般社団法人相川車座 理事、事務局長
2010年に大手企業から独立して起業。
その後、IT企業に所属する時期を経て2020年に2度目の独立。
そして、佐渡での活動のために別の株式会社を設立。
相川地域における活動主体として新たな株式会社と公益法人に参画。
…という流れのようです。
新潟大学の豊田さんの推薦でご紹介いただきました。
初めてお目にかかったのは、佐渡島の西岸にある相川という地域。
そこにあるOkesa Bar Bunzoというお店でした。
約束の時間より少し早めに着くと、カメラや照明など機械がたくさん。
オンライン番組収録中?
…と思ったらまだリハーサルで、一安心。
雨宮さんや相川車座という組織のメンバーの皆さんとご挨拶。
本番の放送現場を見学させていただきました。
そう、実はこの見学が当初からのお招きだったのです。
これはクラウドファンディングによる事業の支援者向けの発信で、
地元酒蔵の日本酒を3年間熟成させるプロジェクトでした。
会場のバーの店主でもある岩崎元吉士(いわさき あきよし)さんの発想が発端。
「熱燗小僧の会」なる有志が、金鶴の銘柄で有名な地元の加藤酒造店に依頼。
関係人口(ファン)づくりのプロジェクトに発展しているようです。
この話だけでも既にとても魅力的でした。
翌日、改めて雨宮さんから相川での活動についてお聞きしました。
その要点を2回に分けて紹介します。
相川地域での自身の立場と体制の設え
・2020年3月に2度目の独立をしたとき、今後の自分の充実した生き方を模索。たまたま最初の佐渡視察をしたのもこの時期。相川の人たちと知り合った。「地域と外部の人がなじんで長続きする場づくり」をしたい。
・独立したときの個人事務所(株式会社)に加え、佐渡での活動に特化したLane株式会社を設立した。そして、Lane社の事業としてBorderless Sadoと銘打ってプロジェクトを開始した。Borderless Sadoは自身の「肩書き」でもあると思っている。プロジェクトの一環で「ふるさとオーナーズ」という関係人口づくりに取り組んでいる。地元酒蔵の日本酒を熟成させるクラウドファンディングも実施。現在、相川車座での事務局長というのが主軸。
・他の世界遺産認定地域のように登録直後に外部資本がワッと来て、すぐに撤退するようなことにならないようにしたいと考えた。最初は仕組みづくり。次に場づくり。自分も楽しい。
相川地域での活動の経緯と概要
・最初の独立後に、地方新聞社の新規事業支援の仕事をしてきた。新潟日報は「つたえる つなげる つかえる―新潟日報」というキャッチコピーで、ITデジタル分野にかぎらず、地域に関わる活動として、新しい事業展開をかんがえていた。古民家活用の事業も手掛けている。
・株式会社NOTEの藤原岳史代表取締役は10年来の親交がある先輩。NOTE社はNIPPONIAという古民家再生事業を手掛けており、神戸新聞社とともに株式会社PAGEを作り事業展開した実績もある。
・そこで新潟に地盤を持つ株式会社新潟日報社と古民家再生を行う株式会社NOTEをつなぎ、新潟エリアでの古民家再生事業を共同で行うことに。(これがのちに、両者出資のもと、新潟県内の地域事業支援の企業体として株式会社Essaを設立することになる)。
一般社団法人佐渡観光交流機構から、要請をいただき、新潟日報社、株式会社NOTE、一般社団法人佐渡観光交流機構も加えた3者で2020年6月に協定を締結した(後に佐渡市を加えた4者に)。
・同年8月に相川で説明会開催。説明会での印象は「いまいち感触がつかめない」。DMOの観光交流機構は佐渡市全体を対象とするので各地域を細かく把握できているわけでない。
・説明会には30名近くの参加者。終了後の懇親会には3名くらいのみ参加。そこで岩崎元吉士(いわさき あきよし)さんと出会い、語り合った。「よい(落ち着ける)時間」と感じた。
・その後、JAZZライブのイベントなどを手伝ったり、打ち上げに参加したりするなど活動を重ねるうちに地域のことがだんだん分かってきた。
・2020年10月、説明会に続く2回目の会議。説明会は学校形式の会場。2回目は座敷に輪になって座る形(「車座」!)。席位置関係なし。15名が参加し、懇親会に14名が参加。説明会の「30→3名」と対照的。
・2020年12月に4者の連携協定で佐渡島づくりセンターという任意団体を設立。兵庫県の丹波篠山で実績のある分散型宿泊NIPPONIA(国家戦略特区で、フロントと客室が同一敷地内という制約外の初の事例。ここでは2.5km離れている)のモデルを相川に導入するもの。大型ホテル建設でなく、分散型エリア開発。
・分散型は、既存の地域内の商業と連携。古民家をつぶさず、残して歯抜けの土地を飛び地として開発。佐渡は広いので、まずは相川地域を最初の対象として実施。
・商業施設で例えると、株式会社相川車座はイオンのような立場。建物を改修して使い手にサブリース。ユニクロのような事業者が運営。部分最適でなく、面的な最適化を図る方法。
・消滅の恐れのある相川の集落で空き家を活用して3棟整備。うち1棟は移住者向け住居として、他2棟はホテルとして活用予定。フレンチレストランも人気。集落にある12棟のうち9棟が使われる状態(空き家でなく)に。
・前述の任意団体と別に一般社団法人佐渡島づくり機構を設立。佐渡市を除く3者が出資。
・機構から出資する形で株式会社相川車座を設立。相川の5つの分団(各分団に複数の町内会が含まれる)、新潟日報社、NOTE社のメンバーが関わり活動。
ここまでが前半でした。
次号では、相川車座という、中核的な組織についてご紹介します。
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