第48話 佐渡での学び その6

佐渡での学びシリーズ。

対面でお話を聞いた4名について報告しています。

その最後を飾るのは、北愛子(きた あいこ)さんです。

新潟大学のコミュニティデザイン室で豊田さんのもと、特任助手として働いています。


いくつかの会合でファシリテーターを務める北さんの姿を以前から拝見し、とてもファシリテーション志向の強い人だと勝手に感じていました。


今回の僕の佐渡訪問にあたっても、できるだけ目的を達成できるように、北さんが多くの助言をしてくださいました。

そこにもファシリテーションの要素が詰まっていたと思います。

前回までにご紹介した3名の人たちとつないでくれたのも北さんです。


ここでは、北さんから聞いたご自身の考えを紹介します。


ファシリテーションとの関わり

・高校時代の授業を好きになれず。大学時代は国際政治の専攻だが、ワークショップを学ぶ機会あり。新潟国際情報大学が中心となって実施された事業。(注:文科省事業「地域の国際化を推進する参加型実践教育」による「国際交流ファシリテーター」養成 https://faci.jp/jigyou/)。個人的には青少年教育におけるファシリテーションに関心あり。

・JICA海外協力隊(青少年活動)でマラウイに赴任。帰国後、JICA新潟デスクで国際協力推進員となる。その後、出身地でいまも祖父母の住む佐渡に戻り、新潟大学に勤務。現在に至る。所属するコミュニティデザイン室が地域での様々なファシリテーションを担っている。

・ファシリテーションでは毎回反省。職業としてファシリテーターをするのは心理的負担も大きく難しいと感じている。コーディネーターの役割が合っている。

・参加者がひとつの選択肢しか見ていない時に「本当にそれでいいの?」「こういう選択肢もあるよ」ということを示せることもよいファシリテーションの一例と思う。即座に頭の中で4象限などを描いて、他の選択肢を示せるスキルがそれに役立つと感じている。


疑問に感じること

・話し合いのなかでの貢献の評価は難しい。目立つ発言に注目が集まりがちだが、目立たなくても「スムーズにいくような発言」がある。それをもっと評価できないものか?

・例えば学生の作業に対価を払う際に、動画制作など分かりやすいスキルを使った作業には払いやすい。一方、コーディネーションのように分かりにくいスキルについては対価を払うのが難しい。これを打開するにはどうすればよいだろうか?

・地域(集落)と、支援者である地域づくりファシリテーターの協働が生まれるのは、地域側からの依頼や、プロジェクト形成の際に既に活発な地域が選ばれるパターンが多い。しかし、本当にファシリテーションや支援を必要としている地域は見えないところにもあるかもしれない。支援者側がアクティブに「目立たない」集落にも入り込んで状況を把握する機能も必要と思っている。もしかしたらひっそりと思いを持つ人がいるかもしれないので。

・どのような特徴を持つ集落が、どのような特徴をもつファシリテーターと組むのが効果的か、うまくマッチングできるとさらによいと感じている。

・地域づくり活動のチームに必要な能力をひととおり挙げて、自前でカバーできていない能力を特定し、それを埋めてくれる助っ人をマッチさせるなどの方法は可能か?

・里山未来ユースワークショップという中高生や大学生たちとの事業で、地域の課題解決のためのアイデアを出してみるが、地域側のニーズと一致しないことが多い。今後どうするか? 農業体験など中心にするほうがよいという考え方もある。


以上、北さんからお聞きしたお話の要点でした。

本当はもっと話が盛り上がり、僕のほうがヒントを多くもらいました。

それを次号でご紹介したいと思います。

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

0コメント

  • 1000 / 1000