第49話 佐渡での学び その7

佐渡シリーズも締めくくりに入ります。

1週間弱の滞在でしたが、気づきと学びにあふれた訪問となりました。


例えば、北さんがおっしゃっていた「地域とファシリテーターのマッチング」の話題から思い出したことがあります。

JICAでは国際協力の専門家に必要な「6つの資質と能力」を以下のとおり挙げています。


分野・課題専門力

総合マネジメント力

問題発見・調査分析力

コミュニケーション力

援助関連知識・経験

地域関連知識・経験


このような資質と能力を地域づくりファシリテーターにも設定して、地域と人材それぞれの特徴を可視化できれば、マッチングの一助になるかもしれません。


僕たちファシ研の活動の当初からの目的にこうしたマッチングの仕組みづくりがあります。

北さんとの対話からの気づきをこれから育てていきたいです。


ここからは余談です。

ちょうど佐渡訪問の直後に、たまたま目に入った『静かな人の戦略書』という本を購入。

以前ならおそらく買わなかっただろう題名です。

しかし、北さんとの対話からつながる気がして興味が湧きました。


内向的な人が、自分の特徴を踏まえて社会で力を発揮するためのコツが書いてある本です。

ファシリテーションと一見無縁ですが、実は参考になることも多々あると感じました。


ファシリテーターが必ず快活で、ユーモア満載の話をしなければならないわけではないからです。

議論を静かに見守っていて、大事なときにさりげなく流れを決める働きかけをする。

そんな地味だけど貴重なファシリテーションもありえます。


この本から、僕自身のなかにある内向性と外向性の両面を理解できました。

そう、僕はどちらかだけでなく、両方が混在する複雑で面倒な人間なのです。

無理に性格を変えるのでなく、自分を理解し、それに応じた振る舞いを見つければよい。

そんなふうに気持ちが楽になりました。


人にはそれぞれ個性があります。

ファシリテーターも個性を生かして自分のスタイルを持てばよい。

まして単発の会議や研修でなく、地域づくりという長い期間の取り組みならなおさらです。

多様な個性を持つファシリテーターたちが揃っていること。

それはむしろ地域や組織にとって強みになるのではないでしょうか。

そんなことを考えるきっかけとなりました。


引用文献

ジル・チャン 著/神崎 朗子 訳、『「静かな人」の戦略書 騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』、2022年、ダイヤモンド社.

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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