第53話 「能登の里山里海学会」という設え その1

能登半島最先端の石川県珠洲市。

半島の本当に一番端にある金沢大学能登学舎。

昔は小学校だった建物。

使われなくなった校舎の再利用です。

私たち地域づくりファシリテーター研究会(ファシ研)。

その活動が始まったのもこの建物です。


能登学舎において2021年12月に開催された行事について今回ご紹介します。

その名は「能登の里山里海学会」。

学会? なんか難しそうな印象です。

しかし、企画の意図は決して堅苦しい集会ではありませんでした。

この行事のポスターには以下のような記述があります。


(ここから引用)

金沢大学能登学舎(珠洲市三崎)では、大学(研究機関)と地域が連携した全国でもユニークな取り組みとして、社会人向け人材育成プログラム「能登里山里海SDGsマイスタープログラム」をはじめ、プログラム修了生や地域での事業・活動のサポートと連携した研究活動「アクション・リサーチ・プログラム(ARP)」を行っています。

大学のほか、里山里海の保全を目的として活動するNPO 法人能登半島おらっちゃの里山里海、珠洲市自然共生室、SDGs 未来都市に制定された珠洲市の機関・能登SDGs ラボといった団体が、旧小泊小学校をリユースした能登学舎に集まり、世界農業遺産「能登の里山里海」をフィールドにした研究活動の拠点となっています。

そこで、能登学舎を拠点に多岐にわたり実践されている「能登の里山里海」に関わるすべての活動を、「能登の里山里海学」と位置づけ、みなさんの日頃の研究成果を発表する場として、「能登の里山里海学会」を企画しました。

マイスタープログラム受講生・修了生、地域の方々、里山里海保全に興味のある大学生、里山里海をフィールドにする研究者が集まり、日頃の研究や活動を発信したり、互いに情報交換したりできる場として、学会の形を模した、“みんなが楽しめる文化祭” を開催します。

(引用ここまで)


通常の学会は、その分野の研究者だけの集会です。

しかし、能登の里山里海学会は開かれた集いのようです。

「みんなが楽しめる文化祭」というのが真意。

学会と称するのは一種の遊び心のようです。


この行事を発案したのが、ファシ研の一員でもある「きのこ」さんこと木下靖子さん。

人類学者のきのこさんは、学生時代から地域にどっぷり入る体験を重ねた人。

そして、地域の自然、文化、社会の魅力を集めた行事を企画する経験も積んできました。

そうしたきのこさんの力が大いに発揮されたのが能登の里山里海学会でした。

この行事の設えを、ファシリテーション的に解釈してみようと思います。

続きは次号にて。


地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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