第54話 「能登の里山里海学会」という設え その2

2021年12月4日。

能登の里山里海学会は開催当日を迎えました。


基調講演は竹川大介さん。きのこさんの師匠です。

「海のこと 山のこと~あげたり もらったりの人類学」

興味深い演題。


でも、なぜこのテーマで竹川さんの基調講演が今回組まれているのだろう?

正直、開催前に僕は理由がよく分かりませんでした。

理由は主催者から特に説明されてもいません。


竹川さんは能登で地域の人たちと共に活動を重ねてきた人でもあります。

そうだからの人選でしょうか?

あるいは、きのこさんの師匠だから?

いや、どうやらそれだけでもなさそうなのです。


少しモヤモヤしたまま当日が来て、竹川さんの講演を聴きました。

そして、目から鱗がボロボロと落ちました。


あげたりもらったり。

食べものだけでなく、信用も貸し借りし合って成り立つ地域社会。

それは、遠く離れた島嶼国の村でも、能登でも同じでした。


今回の聴衆のなかにも、自分が日頃していることの意味が腹落ちした人がいたようです。

普段あまり考えていないけど無意識にある心理。

それを解き明かしてくれる講演でした。

誰もが何らかの気付きを持ち帰ることができたことでしょう。


この基調講演の企画意図は、事前に説明はありませんでした。

聴くことで各人がその理由を見つける設えになっていたのです。


そうした謎解きの仕掛けも含め、僕は大きな感動を覚えました。

ナイス企画!


能登学舎のなかでは一番広い部屋が会場だった基調講演。

溢れんばかりの盛況でした。


基調講演が終了すると、すぐあとに続くのが分科会。

別の階の2つの教室に分かれて複数の講演が並びます。


いずれも能登における腰の座った活動の報告。

聴きごたえ十分です。


僕の唯一の不満。

それは、どちらかひとつしか聴けないことでした。

それほど、両方とも魅力的な内容でした。


分科会が終わると昼休み。

地元のおかあさんたちが営む「へんざいもん」という里山里海食堂。

おいしい食事をいただきます。


そして、ポスター発表や直売市。

会場の体育館を多くの人たちが行き交います。


午後は4つのワークショップも開催。

丸太切りチャレンジ。時間を計ります。

里山里海のふりかけづくり。世界で一つの自作のふりかけができます。

ハーバリウムづくり。これも世界でただ一つの作品の完成です。

写真撮影。商品などを魅力的に写す「物撮り(ぶつどり)」。

(世界にただひとつのふりかけとハーバリウム(の物撮り))


それぞれ、人材育成講座を終了した「能登里山里海マイスター」が指導。

いやー、才能豊かな人たちが揃うことは地域の魅力ですね。


僕自身、午前の講演から午後のワークショップまで身を乗り出して参加しました。

人の動線への配慮があり、空間の設えも見事でした。



そして、地域づくりファシリテーション研究会として別の形でも参加しました。

その話は次号にて。

地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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