第66話 対馬での学び その11

ここまで、民間と行政の取り組みからの学びを連載してきました。

地域づくりファシリテーションの要素が随所に見られます。


こうした取り組みが、時系列かつ横断的につながっていることも対馬の強みです。

対馬の地域づくりの大きな流れ。

何といっても「域学連携」がその流れを作り始めました。

地域と大学が力を合わせる取り組みです。


対馬市SDGs推進室の前田剛さんから以前、別の研究会のオンラインでご講演いただいたいことがあります。

その際に聞いた内容がすごいので、今回の対馬訪問につながりました。

(その別の研究会についてご関心のあるかたは以下をご参照ください)

https://noto-sdgs.jp/2022/708/


実は能登も域学連携に熱心に取り組んできた地域です。

お互いを見比べて、よいところを学び合うことができそうです。


対馬における、あるいは対馬に関するあらゆる研究。

それを集めることで「対馬学」を構築する、という構想を掲げました。

成果の共有と発信のため「対馬学会」を設立しようという計画もありました。


対馬学会設立は現時点では実現していませんが、それに代わる仕掛けがあります。

それが、「対馬学フォーラム」です。

2015年度から毎年開催されるイベントです。


ここでは、対馬における、あるいは対馬に関するあらゆる研究の成果が発表されます。

小中学校生や高校生の発表もあります。

口頭発表の件数は限られますが、ポスター発表もあります。

数十件の成果発表が毎年、同じ時に同じ場所で開催されること。

その意義は大きいです。

運営側はかなり大変でしょうから、本当に頭が下がります。


もう一つの系譜が、より実践的な人材育成である島おこし実践塾。

実績を重ねてきましたが、コロナ禍で対面での講座が困難に。

そうした状況も踏まえて、オンライン方式も導入した対馬グローカル大学として新たなスタート。


対馬グローカル大学で最も特徴的だと僕が思うのがゼミ形式です。

教育ゼミ、社会ゼミ、食ゼミなど。

それぞれのゼミに指導役が付きます。

大人数の座学では受け身の学びになりがち。

少人数でアウトプット重視の学び。

それを対馬グローカル大学のゼミ方式が可能にします。


対馬グローカル大学自体が多世代かつ地域内外のごちゃまぜの学び合いです。

その成果発表も、対馬学フォーラムと同じ日に開催することにも狙いがあります。

ありとあらゆる活動や、その実践者たちが一堂に会する機会。

そこにこだわりが感じられます。

点を作るだけでも簡単ではないこと。

それを線としてつなぎ、さらに線同士をつないで面にしていく作業。


卒業生がティーチング・アシスタントとして運営に参加しています。

それは、事務局の労力を軽減するだけでなく、協働の輪をさらにつなぐ工夫でもあるのでしょう。

こうした場や体制や、それを動かしていくプロセスの設え。

それを今回、目の当たりにすることができました。



写真(上):対馬グローカル大学の修了発表会。会場は新築の対馬博物館。窓の外は絵画のような美しい景色。



写真(上):対馬学フォーラムのポスターセッション。地域の内と外がつながり、多世代の学び合いの場となっている。


地域づくりファシリテーション研究所

地域づくりの活動それぞれにリーダーが必要。でも、リーダーだけいればうまくいくとは限らない。側面支援も大切。この側面支援を「地域づくりファシリテーション」と称して、その役割を考えていきたい。研究所と名乗っているが、とりあえず仲間たちと共にこじんまりと議論し、実践していくなかでの気付きを記録していく。

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